ガチャンという音と、少女の小さな悲鳴が店内に響き渡った。
何事かと店の客たちが一斉に彼女に注目して、俺も音の方に視線を向けた。
(なんだ、一体?)
「ううっ……、いたぁ……」
前のめりにつまづいた赤城千夏(あかぎ ちか)が、顔をしかめながら辺りを見渡している。
「うっ……、やっちゃった」
ランチタイムだけのお得なステーキセットが、床の上に見事に散乱していた。
サラダやご飯、焼きたてのお肉が一口も食されることなく、無残な姿をさらしている。
(あのガキ、またやりやがった……)
店長であるこの俺、門田佳一(かどた けいいち)は、すぐに彼女の側に駆け寄った。 |