二年生になって、二ヶ月ほどが過ぎていた。
相変わらず学校は退屈なところだったが、他にしたいこともなかったので、 この俺、貝塚浩次(かいづか こうじ)は何となく学校に通っていた。
ほとんどのクラスメイトが下校して、教室の中は静かだった。
プリントアウトされた古文の問題と向き合っていた俺は、問題を解くことを断念し、手にしていたシャープを机の上に置いた。
監視役である同じクラスの坂上みこと(さかがみ みこと)が、俺の顔を怪訝そうに見詰めていた。
古文の問題から完全に目を離して、俺はお手上げという顔をしてみせた。
机の上の問題用紙を覗き込んで、みことが呆れ顔になる。
彼女は成績が優秀で、真面目で優しくて、誰からも好かれていた。
そんな優等生だからこそ、適当に生きて、たまに授業をサボったりする不真面目な俺の思考や行動は、まったく理解できないようだった。 |